港区3エリアを押し上げた「世帯年収」と、世代別「資産価値」の捉え方

数字だけでは測れない土地の本質的な価値を紐解く「マレリッチ研究所」。今回は、首都圏の生活者1,041名を対象に実施した意識調査から、「稀立地だと思うエリアランキング」をご紹介します。

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生活者がその土地に惹かれる理由は、歴史が紡いできたステータスなのか、あるいは現代のライフステージに即した住みやすさなのか——。まずは、トップ10の顔ぶれから見ていきましょう。

■ 首都圏「稀立地(マレリッチ)」エリアランキング・トップ10

「希少価値が高い(稀立地)と思う首都圏のエリア」を尋ねたところ、以下の結果となりました(上位3つまでの複数回答)。

※上位3つまでの複数回答(n=1,041)

4位の「恵比寿・代官山」に8.0ポイントの差をつけ、港区の3エリア(青山・麻布・白金)がトップ3を占めています。

■ 世帯年収が上がるほど、港区への集中が強まる

今回もっとも明確な傾向が見られたのが、世帯年収別の集計です。港区3エリアのいずれかを選んだ割合は、世帯年収300万円〜500万円未満の層で30.2%だったのに対し、2,000万円以上の層では65.5%。およそ3人に2人が港区を挙げる計算です。単体で見ても、青山・南青山は19.8%から49.1%へ、麻布・広尾は17.9%から47.3%へと大きく伸びました。

住まいを資産としても捉える視点が強まるほど、評価軸が「街のブランド」に収れんしていく——データはそう読めます。実際に売り物件が出にくく、需要が途切れにくい街が、希少性のわかりやすい答えとして選ばれているのでしょう。

■ 一方で、年収に左右されない街もある

ただし、すべてのエリアが同じ動き方をしているわけではありません。自由が丘(世田谷区)はどの年収帯でもおおむね8〜13%の範囲で選ばれ、吉祥寺(武蔵野市)、成城や田園調布も、年収帯を横断してほぼ一定の支持を集めています。

商店街の充実、緑の多さ、街並みの落ち着き——数字にしにくい日々の質が、そのまま希少性として受け取られている。港区3エリアとは異なる、もう一つの稀立地のかたちです。


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■ 完成された価値を求める40代。「下値の堅さ」という資産性方

年代別に見ると、トップ3の「青山」「麻布」「白金」は、人生の成熟期を迎える40代からの支持が高いことが特徴です。40代における「青山・南青山」の選択率は34.7%に達しました。稀立地住まいのイメージも「資産として評価されやすそう」が最多(44.5%)で、「ステータスや誇り」(19.8%)への意識は全世代の中で最も高くなっています。

青山が支持される背景には、長い年月をかけて積み重ねられてきた歴史の系譜がありそうです。

地名の由来は徳川家康の家臣・青山忠成が拝領した屋敷地とされ、江戸期には武家地として整備されました。近代以降は各国の大使館や文化施設が集まる国際的な一帯へと姿を変え、その来歴が、この街に独特の気品をもたらしています。2位の「麻布・広尾」もまた、大使館が多く立地する落ち着いた住環境として知られています。同じ条件の土地を新たにつくり出すことは難しく、この3エリアは「供給が限られる」という稀立地の要件を、街そのもののかたちで満たしているといえます。

40代の住まい選びは、家族の長期的な足場を固めるライフステージ。彼らが求める資産性とは、短期的な値上がり益ではなく、景気の波に左右されにくく価格が下がりにくいこと——いわば下値の堅さに他なりません。

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■ 【世代で分かれた3位】20代が「白金・高輪」に熱視線を送る理由

一方、同じ港区ブランドでありながら、トップ3の中で唯一20代のスコアが高く、40代に迫る勢いを見せたのが3位の「白金・高輪」です。青山や麻布では若い世代の選択率が下がるのに対し、白金・高輪では20代の選択率が30代をも上回りました。

背景にあるのが、駅周辺で進む大規模な再開発と、品川駅への延伸事業です。東京メトロ南北線を白金高輪駅から分岐させ、品川駅へとつなぐ延伸事業は2024年11月に着工し、2030年代半ばの開業が予定されています。

20代もまた「資産として評価されやすそう」(42.3%)というイメージを強く持っていますが、求める資産性の中身は少し異なります。重視されているのは、将来の伸び代や、次のライフステージへ移る際の流動性。すでに評価が定まった場所よりも、いままさに変化の最中にある街こそが、20代にとっての「ポートフォリオ型の稀立地」として映っているのかもしれません。

■ 【新たな価値観】20代が注目する「流山おおたかの森」の住環境

若い世代の価値観の変化をよく映し出していたのが、つくばエクスプレス沿線で発展した「流山おおたかの森・柏の葉周辺」のデータです。稀立地と捉える割合は20代11.5%と全年代で最も高く、同世代における「青山・南青山」の選択率(7.7%)を上回りました。

もともとは、のどかな田園や平地林が広がっていた一帯です。2005年のつくばエクスプレス開通と、それに伴う計画的な区画整理によって、自然と利便性が調和した次世代型の子育てタウンへと発展しました。その「現在進行形の暮らしやすさ」は、若い世代にとって手触りのある資産性として映っているのでしょう。

■ まとめ:稀立地の物差しは、一つではない

今回のランキングが示したのは、希少性を測る物差しが立場によって変わるという事実です。年収が上がるほど評価は港区へ集中し、その一方で、年収帯を問わず支持され続ける街もある。同じ「資産性」という言葉を使いながら、40代は下値の堅さを、20代は伸び代を見ています。

ランキングに名を連ねた街の背景を知ることは、自分がどの物差しで土地を見ているのかを確かめる手がかりにもなります。あなたにとっての「稀立地」は、この中のどれでしょうか。

出典・参考元

調査概要

「生活者が求める希少性と首都圏の稀立地(マレリッチ)」に関する調査

【調査期間】2026年6月22日(月)~2026年6月23日(火)

【調査方法】インターネット調査

【調査人数】1,041人

【調査対象】調査回答時に1都3県在住の20~50代と回答したモニター

【調査元】タカマツハウス株式会社(https://takamatsu-house.co.jp/

【モニター提供元】サクリサ